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カルチャー・コラム公開 2026.09.29 ・ 更新 2026.10.13

ベトナムでピックルボールが爆発した理由|2年で1,000面の裏側

ベトナムでピックルボールが爆発した理由|2年で1,000面の裏側

ベトナムではピックルボールのコートが、2023年のホーチミン市で2面だったものが2025年には1,000面を超えました。なぜ2年でここまで広がったのかを、数字と5つの理由で解説します。

この記事でわかること
  • ベトナム・ホーチミン市のピックルボールコートは2023年中盤の2面から2025年に1,000面超へ増えました(VnExpress International・2025年12月)
  • 2025年1〜10月のベトナムのピックルボール関連商品の売上は約1兆ドン(約3,800万ドル)、パドル販売は140万本で前年の約7.9倍でした
  • ベトナムが速かった理由は、若い人口・低いコート料金・有名人とSNS・テニスコートの転用・国際大会の誘致の5つです

ベトナムのピックルボールはどれくらい広がっている?

ベトナム最大の都市ホーチミン市では、ピックルボールコートが2023年中盤の2面から2025年には1,000面超に増えました(VnExpress International・2025年12月)。アメリカが60年かけた広がりを、ベトナムは2年ほどで駆け抜けています。

項目

数字

時点・出典

ホーチミン市のコート数

2面 → 1,000面超

2023年中盤 → 2025年・VnExpress International

ダナン市の定期プレイヤー

約1万人、標準コートの複合施設30か所超

2025年・同

関連商品の売上(1〜10月)

約1兆ドン(約3,800万ドル)

2025年・同

パドルの販売本数

約140万本(前年比689%増)

2025年1〜10月・同

取り扱うオンライン店舗

1,683店(前年の2倍)

2025年・同

コートのレンタル料金

1時間15万〜25万ドン(約900〜1,500円)

2025年・同

出典: VnExpress International「Hooked after one try: How pickleball becomes one of Vietnam's hottest sports」(2025年12月7日)。ドン円換算は2026年9月時点の概算。

プレー人口については、プロ団体UPA AsiaとYouGovが2025年7月に「ベトナムは認知率88%、頻繁にプレーする人1,600万人超」と発表しています。ただしこれはオンライン調査の回答率を人口に掛けた推計で、実数とは開きがある可能性があります。確度の高い「コート数」「売上」「販売本数」を中心に見るのが安全です。

なぜ2年でここまで広がったのか?

ベトナムが速かった理由は、若い人口・低いコート料金・有名人とSNS・テニスコートの転用・国際大会の誘致の5つが同時に働いたことです。アメリカが「コミュニティ → 施設 → リーグ」の順だったのに対し、ベトナムでは有名人とSNSが先に火をつけ、コートが後から追いかける逆の順番になりました。

  1. 若い人口とラケット文化: ベトナムはテニス・バドミントンが盛んで、ラケットを持ったことがある人が多い国です。VnExpressによると、2025年のプレイヤーの28%は他のラケット競技からの転向組です。
  2. コート料金の安さ: 1時間15万〜25万ドン(約900〜1,500円)を4人で割ると1人300円前後です。若い人が週に何回も通える価格です。
  3. 有名人とSNS: 2024年ごろから歌手・俳優・元テニス選手・ミスコン出身者がプレーする様子をSNSに投稿し、「おしゃれで新しいスポーツ」として一気に広がりました。2025年の「ピックルボールラケット」のGoogle検索は230万件に達しています(VnExpress)。
  4. テニスコートと空き地の転用: テニスコート1面にピックルボールコートは4面入ります。既存のテニスコートや空き地、駐車場にラインを引いて簡易コートにする動きが各都市で起き、供給が需要に追いつきました。
  5. 国際大会の誘致: 2025年7月にプロツアー「PPA Tour Asia」がアジアで始まり、2026年8月30日〜9月6日にはダナンで「ピックルボール・ワールドカップ」がアジアで初めて開かれました(65か国・地域超が参加見込みと発表)。

コートはどんな場所にある?

ベトナムのコートは、専用施設よりも「テニスコートの転用」「屋外の簡易コート」「カフェやホテルの敷地」が中心です。屋根付きの本格施設は増えていますが、街を歩けば駐車場や空き地にネットを立てたコートが見つかる、というのが2025年の風景です。

形態

特徴

テニスコート転用

1面を4面に分割。既存クラブが手早く始められる

屋外の簡易コート

空き地・駐車場にラインとネット。料金が安く、若い層の入口

複合施設・カフェ併設

飲食とセット。ダナンでは標準コートを持つ複合施設が30か所超

ホテル・リゾート

観光客向け。ダナン・ニャチャンなどのリゾートで導入が進む

出典: VnExpress International(2025年12月)、Viet Nam News(2024年7月)。

南部のホーチミン市、中部のダナン市が2大拠点で、北部のハノイ市がそれに続きます。2024年には地方都市でもテニスコート4面をピックルボール用に改修する例が報じられており、大都市から地方への波及が始まっています。

2026年ワールドカップがダナンで開かれた意味は?

2026年8月30日から9月6日にダナンで開かれたピックルボール・ワールドカップは、アジアで初めての開催で、ベトナムが「アジアのピックルボールの中心地」として国際的に認められたことを意味します。大会は65か国・地域を超える参加を見込んで発表され、各国の代表チームが集まりました。

プロツアーの側でも、2025年7月に始まったPPA Tour Asiaに続き、チーム制リーグMLP(Major League Pickleball)のアジア版が2026年に予定されています。アメリカのプロ団体が「次の市場」としてアジアに直接投資を始めており、その受け皿として真っ先に選ばれたのがベトナムでした。

日本からの見え方としては、「アジアの国際大会がすぐ近くで開かれる時代になった」ということです。飛行機で5〜6時間の距離に、世界レベルの大会と数千面のコートがある環境が整いました。

日本と何が違うのか?

日本とベトナムの最大の違いは、コートの供給スピードと、有名人・SNSによる「かっこいい」の演出が先に来たかどうかです。日本の競技人口は約33万人、認知率は13.1%(2026年3月時点・株式会社ピックルボールワン調査)で、まだ「知られていない」段階にあります。

項目

ベトナム

日本

コートの増え方

屋外の転用・簡易コートで一気に増加

屋内の専用施設が中心で、増え方は緩やか

1時間の料金(4人で割った目安)

1人300円前後

専用コートで1人500〜1,000円前後

火をつけたもの

有名人のSNS投稿・国際大会

テレビ露出・企業イベント(有名人の継続的な発信はこれから)

統括団体

クラブ・大会主催者が先行し、団体は後追い

2026年に2団体が統合し Pickleball Japan(PJ)に一本化

気候

年中屋外でプレー可能

梅雨・冬があり屋内施設が必要

出典: VnExpress International(2025年12月)、株式会社ピックルボールワン「日本のピックルボール市場調査2026」(2026年3月)。日本の料金は首都圏の専用コートの一般的な範囲。

気候と土地の条件が違うため、ベトナム式の「屋外簡易コートの乱立」を日本でそのまま再現することはできません。一方で、「有名人とSNSで『行きたい』を先につくる」「テニスコートを分割して供給を増やす」の2点は、日本でも同じ効果が見込めます。

日本が学べることは?

日本が学べるのは、施設を増やす前に「見せ方」で需要をつくったこと、そして既存のテニスコートを分割して供給を急いだことの2点です。どちらも大きな投資を必要とせず、日本の施設や団体がすぐに取り入れられます。

  • 見せ方を先に: ベトナムでは有名人のSNS投稿が「おしゃれなスポーツ」というイメージを先につくりました。日本では動画・SNSでの継続的な発信が、まだ空いている領域です。
  • テニスコートの分割: 1面が4面になるため、稼働の低いテニスコートを持つ施設にとっては、少ない投資で新しい客層を呼べる手段になります。
  • 料金の入口を低く: 1人300円で週に何度も通えるベトナムの価格は、日本でそのまま真似できませんが、初心者会やオープンプレーの参加費を低く抑えることで「2回目に来る人」を増やせます。

ベトナム旅行でピックルボールはできる?

できます。ホーチミン市・ダナン市・ハノイ市には数百〜1,000面規模のコートがあり、パドルとボールをレンタルできる施設も多いため、手ぶらで訪ねることも可能です。料金は1時間15万〜25万ドン(約900〜1,500円)が目安で、事前予約はSNSやメッセージアプリで受け付ける施設が一般的です。

個別の施設の予約方法や営業時間は変わりやすいので、渡航前に各施設の公式SNSで最新情報を確認してください。

よくある質問

ベトナムでピックルボールはいつから流行っていますか?

2018年ごろに持ち込まれ、2023年から2025年にかけて急拡大しました。ホーチミン市のコート数は2023年中盤の2面から2025年に1,000面超になっています(VnExpress International・2025年12月)。

ベトナムのピックルボール人口は何人ですか?

公式統計はありません。UPA AsiaとYouGovの調査(2025年7月)は「頻繁にプレーする人1,600万人超」と推計していますが、オンライン調査の回答率を人口に掛けた数字のため、実数とは開きがある可能性があります。

ピックルボールのワールドカップはベトナムで開かれたのですか?

はい。2026年8月30日から9月6日にダナン市で開かれ、アジアで初めての開催となりました。65か国・地域を超える参加が見込まれると発表されています。

ベトナムのピックルボールコートの料金はいくらですか?

1時間15万〜25万ドン(約900〜1,500円)が目安です(2025年・VnExpress International)。4人で割ると1人300円前後になります。

まとめ

ベトナムのピックルボールは、ホーチミン市のコートが2年で2面から1,000面超になり、2025年のパドル販売は140万本、2026年にはアジア初のワールドカップがダナンで開かれるまでになりました。速かった理由は、若い人口、安いコート料金、有名人とSNS、テニスコートの転用、国際大会の誘致の5つです。日本は「見せ方を先に」「既存コートの分割」の2点を学べます。

PICKLYは、日本のピックルボールのコート・施設情報とイベント情報をまとめているサイトです。海外の団体・施設・企業との連携や取材のご相談は、コンタクトページからお問い合わせください。

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