
ホテルのピックルボール導入には、専用施設・屋内・既存コートの活用という選択肢があります。国内3事例を比較し、自社に合う方式の選び方、費用の確認項目、運営と成果測定の考え方を紹介します。
- 専用施設・屋内・既存コート活用の3事例を、利用対象や期間、予約・用具の運営条件から比較します。
- 導入費用は初期整備だけでなく、人員・保守などの運営費と、転用する施設への影響を分けて見積もります。
- 宿泊体験を充実させる目的と成果を区別し、利用率・対応時間・収支を記録して導入後の継続を判断します。
ホテルのピックルボール導入は、どの事例を参考にする?
専用施設を運営するなら大阪堺、屋内で体験を提供するなら品川、既存テニスコートを活用するなら箱根が比較の出発点です。場所に加え、利用対象・予約枠・用具・人員をセットで検討しましょう。
ピックルボールとは、パドルと呼ばれるラケットで、穴のあいたプラスチック製のボールを打ち合うスポーツです。
この記事は、ホテルの運営・企画担当者に向けて、国内3施設の導入方法と、自社で計画を進めるための判断材料を整理したものです。2026年10月15日に事業者の公式発表を確認しました。各施設の営業状況や料金の最新案内ではなく、発表時点の導入事例を扱います。
国内ホテルの導入3事例を比較
3事例の違いは、コートの規模だけではありません。誰に利用してもらうか、いつまで提供するか、用具と受付をどう運営するかが異なります。
公式発表に基づく導入方法・運営条件の比較
施設・所在地 | 空間・開始時期 | 利用対象・期間 | 運営・用具 |
|---|---|---|---|
ホテル アゴーラ リージェンシー 大阪堺/大阪府堺市 | 屋外専用コート6面/2026年4月25日開業 | 会員登録により宿泊者以外も利用可/終了日の記載なし | ファンダメンタルジャパン株式会社が運営/用具貸出の記載なし |
品川プリンスホテル/東京都港区 | 屋内コート1面/2026年3月23日営業開始予定と発表 | 会社帰りの利用やパーティー利用を想定/終了日の記載なし | Web予約・1枠50分/パドルとシューズは有料レンタル |
箱根仙石原プリンスホテル/神奈川県箱根町 | 既存テニスコートの一部を整備/2026年7月1日から提供と発表 | 宿泊先での体験として提案/2026年11月30日まで(延長の可能性あり) | 予約制/パドル・ボール・シューズの貸出は無料 |
出典:各事業者の公式発表(大阪堺:2026年4月28日、品川:3月16日、箱根:7月10日)。2026年10月15日確認。詳細な出典は以下の事例ごとに記載しています。
「記載なし」は、参照した発表に情報がないことを示します。箱根の宿泊者以外の利用条件は、この発表からは確認できません。
大阪堺:専用6面を外部運営会社が運営
「ラックハウジング Pickleball Base Osaka」は、ホテル6階の屋外専用施設です。宿泊体験の充実を目的としつつ、会員登録で宿泊者以外も利用できる点と、運営会社が明示されている点が特徴です。アゴーラ ホスピタリティーズの公式発表(2026年4月28日)
検討へのヒント:地域客も受け入れる専用施設を目指すなら、宿泊者向けの利用枠と一般予約をどう両立するか、ホテルと運営会社のどちらが受付・問い合わせを担うかを先に決めます。
品川:屋内1面にレンタルと飲食を組み合わせる
「SEIBU FAST SPORTS FIELD 品川ピックルボール」は、メインタワー10階の屋内施設として発表されました。用具レンタルに加え、飲み物や軽食の提供も案内しています。発表上のコート寸法は幅5.2m×長さ13.4mです。この施設の公表値であり、公式競技用コートの規格や施設全体の必要面積を示す数値ではありません。西武メディア・コミュニケーションズの公式発表(2026年3月16日)
検討へのヒント:屋内の限られた面数で運営するなら、プレー時間だけでなく、説明・貸出・入替・清掃に必要な時間まで含めて予約枠を設計します。飲食との併用は、導線と担当者の負担も確認します。
箱根:既存コートの一部を期間限定で活用
箱根仙石原プリンスホテルは、テニスコートの一部を専用コートとして整備し、2026年7月1日〜11月30日の提供を発表しました。需要動向による期間延長の可能性にも言及しており、恒久運営を前提にした発表ではありません。西武・プリンスホテルズワールドワイドの公式発表(2026年7月10日)
検討へのヒント:既存設備を使う場合は、従来のテニス利用との調整が必要です。期間を区切るなら、継続判断の日程と評価項目を開始前に設定すると、利用状況に基づいて判断できます。
自社に合う導入方式はどう選ぶ?
まず利用目的を一つ定め、候補地の条件と運営できる体制で方式を絞ります。以下は3事例を踏まえたPICKLY編集部の提案で、各ホテルの実施内容や成果を示すものではありません。
- 宿泊中の体験を充実させたい:チェックイン前後や連泊中の空き時間に使える枠を検討します。初心者への説明、貸出用具のサイズ・数量、悪天候時の案内まで準備します。
- 地域客や企業の利用も受け入れたい:宿泊者との予約枠の配分、外来客の入退館動線、団体の受付、館内の飲食施設との連携を確認します。
- 既存施設で需要を確かめたい:現地調査で利用可否を確認したうえで期間を区切り、元の用途に戻す条件と費用も比較します。既存コートがあるだけで、低コストと判断しないことが大切です。
候補地では、競技ラインの範囲と周囲の動作空間を分けて確認します。床面の状態、打球音と客室の位置関係、照明、避難動線、雨天対応を施設管理・施工担当者と点検してください。屋内の場合も、天井や壁との距離、音の響き方を確認します。
導入費用の見積もりでは何を確認する?
3本の公式発表から工事費や初期投資の総額は確認できません。金額を推測するより、初期費用・運営費・既存用途への影響を分け、同じ条件で見積もりを比較しましょう。
- 初期費用:現地調査、床面の補修、ライン、ネット、フェンス、照明、必要な音対策、パドル・ボール・シューズ、収納設備。新設するものと流用するものを分けます。
- 運営費:予約・決済の手数料、受付と初心者説明の人件費、清掃、用具の交換、保守、保険。外部に委託する場合は、料金に含まれる業務と追加費用を確認します。
- 既存用途への影響:工事中の休止期間、テニスなど従来用途の予約減、期間終了時の撤去・原状回復費。転用で失う収益も判断材料に含めます。
見積もりを依頼する際は、「候補地の図面・写真」「利用目的と対象」「希望面数」「実施期間・営業時間」「用具貸出とスタッフ配置の方針」をまとめます。施設の利用料金は、導入工事費や投資回収の根拠にはなりません。
導入後の成果はどう測る?
予約の多さだけでなく、宿泊者の利用、運営負荷、収支を同じ期間で記録します。今回の発表には、導入による宿泊予約増加や売上改善を検証できる実績値はありません。
- 利用状況:利用枠数÷販売可能枠数で利用率を記録します。枠の長さをそろえ、雨天中止や休止枠の扱いを決めておきます。曜日・時間帯・宿泊者と外来客の内訳も分けます。
- 体験の評価と負担:利用者の満足度、再利用意向、スタッフの対応時間、用具の破損、音に関する苦情や安全上の問題を残します。利用率が高くても、人員負担が大きければ運営を見直します。
- 収支と宿泊への影響:コート・レンタルの売上と追加の運営費を比較します。関連宿泊プランの予約も追いますが、季節、客室価格、他の販促による変動を区別し、導入だけの効果と断定しません。
試行する場合は、開始前に「いつ、誰が、何を基準に継続・改善・終了を判断するか」を決めます。必要な利用率や費用の上限は、各ホテルの目的と採算条件から設定してください。
ホテルへの導入でよくある質問
導入の可否は、既存設備の有無だけでは決まりません。空間、費用、運営体制を具体的に確認することが必要です。
既存のテニスコートを使えますか?
箱根には一部を整備した事例があります。ただし、自社で利用できるかは床面、周囲の空間、従来の予約との調整によります。図面と現地調査で判断しましょう。
小規模なホテルでも導入できますか?
品川には1面の事例がありますが、小規模ホテルでの実現性を保証するものではありません。必要な空間と安全条件を満たせるか、限られたスタッフで説明・貸出・清掃を回せるかを確認します。
導入費用の相場はいくらですか?
本記事の3事例から相場は示せません。新設か転用か、床面改修や音対策が必要かで条件が変わります。初期費用と運営費を分け、同じ仕様・業務範囲で見積もりを取りましょう。
ホテルの集客や宿泊売上は増えますか?
3本の発表だけでは増加を確認できません。滞在価値を高めるという目的と、実際の成果を分けて考え、利用記録や関連プランの予約データから検証します。
まずは候補地と運営条件を整理しよう
ホテルへのピックルボール導入は、似た施設をまねるより、自社の利用目的・空間・人員に合う条件をそろえることが第一歩です。
候補地の図面や写真、想定する利用者、希望時期をまとめると、現地確認や見積もりの相談を具体的に進められます。ホテルでの導入・体験企画については、PICKLYへ相談するからお問い合わせください。